雪

あまり積もらなかったのですけれど。
少しだけ、降りましたね。
寒いのはあまり好きではありませんが、雪の降った翌日、
いつもより凛とした、いつもより明るい光で目覚めると、
少しワクワクとして、寒いのも忘れて窓際に駆け寄っちゃいますよね。

今回も少なくて無理でした、けど。
雪兎、というものを、一度作ってみたいです。
想像の中のそれは、いつもとても可愛らしくて。
いつか、掌に乗せてみたいと、思うのです。


バレンタインももうすぐで、そういう話題も頻繁に聞こえてくるようになりました。
……私は、あまり楽しみという訳では、無いのですけれど。
それでも、やっぱり行事ごとというのは、知らずに心が浮き立つものですね。

レシピを見ていたら、面白そうなものがありましたので、
折角なので作ってみることにしました。
……受け取ってもらえたら、いいなあ。

【とある日常】

いつもはベッドサイドが定位置の、真白いテディベア。
その自慢の、ふわふわの長い毛が台無しになるぐらい、強く強く抱き締める。

『……の馬鹿、馬鹿、ばか、ばか、ばか……！』

ベッドの上でごろごろ転がりながら、強く抱いたぬいぐるみに顔を埋めてみたり、時には布団に思い切り叩きつけてみたり。
見るも無残な姿のぬいぐるみなどお構い無しに、苛立ち紛れに馬鹿馬鹿と連呼していたかと思えば。
……ふう、と、大きく溜息を吐いてみたり、忙しい様子である。

――ふとした時に思い出してしまう。
あの声が。あの距離が。あの温度、が。

かあっ、と頬から頭にまで熱が上がった。
煩い心臓にくらくらしそうになりながら、怒りを再び蘇らせる。

あの人に怒っているんじゃない。
――まさか、自分が「あの先」を少しでも望んでいた、なんて。
そんな自分が、酷く嫌で、滑稽で、……許せない。

『もう恋なんてしないって思ったのに……！』

思い切り投げられたぬいぐるみは、ベッドとは反対側の壁に当たって。
少女の頬から零れた雫と一緒に、寂しく床に落ちていった。