【とある科学者の手記】

「○月●日

　私が作り出した兵器は、しなやかな人型を形成した。
　少女であるか、少年であるか。
　どちらで答えられようとも間違いではないが、
　私はこの兵器を、【少女】とする、と答えるだろう。

　即ち、この兵器は私の【憧れ】なのである。

　幼い頃の、無邪気で前向きなる心。
　届かない程の眩い純白。
　”女性”というそのもの。

　強さ。
　守る為の想いと、それを実行出来うるだけの実力。

　【憧れ】の結晶のようなこの兵器は、
　まるで自分の子供のように、愛おしさを感じた。

　そして同時に、妬ましくもあった。

　確かにこの兵器は、私自身を守る為に作ったものだ。
　然し、【憧れ】を自身で手に入れられない嫉妬で、
　私はこの兵器の出番を、いつしか待ち望まなくなった。

　愛おしい。
　妬ましい。
　素晴らしい。
　悔しい。

　私は世間に、兵器の存在を隠し続けた。
　何の為かと言われれば、
　…真白な想いと、真黒な思いが交差していた、のだ。



　この手記が発見される頃には、私は既にこの世にはいないであろう。
　私自身も、自分で現状を理解している。

　ただ願わくば、この手記と、
　【彼女】の出番が、共に光の場所に現れない事を」





（という設定だったとさ）