癖

『使う』という感覚に慣れ過ぎてる、と言われました。

…いえまあ。
小さい頃から使用人さん達に囲まれてましたので、
慣れてるといいますかどう『使う』かを知っているといいますか…。
でも、結構自分のことは自分でやってるんですけどねー…。

一応ある程度の教育は受けましたし。
料理ぐらいは普通に出来るんですけどね。あとちょっとした裁縫とか。
歌と同じで、自分の手で何かを生み出すというのはとても楽しいことです。
…けど、周りにもっと料理の上手い人が多いので…
うわん、精進あるのみ、ですかっ



そういえば。
今月末はハロウィン。コスチュームを相談する声も聞こえてきます。
私も参加したいのですが…うーん。
今からだと十分に間に合うのでしょうが、そのコスチュームが決まりません…っ！
どんな格好だと似合うでしょうか？うーん…

【とある日常】

組対抗リレーの選手が決定したという話を聞き、
少女もまた、多くの生徒と同じく、掲示板のほうまで足を運んだ。

まずは自分の組の選手。
クラスメイトも、知り合いもいないことを確認する。
それでも、メンツを確認し、その人を見かければ一言声をかけよう、と
自分なりの応援を胸に誓う。
当日もきっと、名前を呼びながら応援するのだろうし。
この学校の運動会は初めてだけど、そんなことを考える。

そしてそのまま、他の組の代表選手を確認していき

『……あ、雅さん』

ぽつりと漏れた機械交じりの声は、
しかし周りの喧騒に紛れ、誰に届くこと無く消えていく。

違う組だけど、同じ結社の、友人。
だから、当日の応援は出来ないけど。

『…頑張、れー…』

貼り出された名前を見上げて、
握り締めたこぶしと、小さな小さな応援。
喧騒に紛れても届くように。言葉に想いを、込めた。