ぬいぐるみ

新しいテディベアを両親より頂きました。
前の子は、そろそろくたくたになってきてしまいましたのでね。
…もう、相当長い間一緒でした。茶毛のテディさん。

今度は白毛の、毛足長めのテディさんをお迎えしました。
前の子の綿を少しだけ混ぜてもらい、やわらかめに作っていただきました。
首のリボンも、前の子のものです。
やっぱり、…まだ違和感はありますが。新しいこの子と仲良くしていきたいと思います。

やっぱりちょっと、寂しいですけどねー…。

テディさんは、小さな頃に買ってもらい、凄く気に入ってしまって。
それ以来、くたくたになるたびにこのように買い替えてもらっているのです。
今回でもう、4代目ですね。
…成人するまでは、テディさんと一緒にいて、この子にも見守っててもらうのです。えへ。

さて。今日はテディさんにはじめましてのご挨拶、と。
…いつもは枕元に置いているのですが、今日は一緒にお布団に入っておやすみです。
ふわふわのやわらかい感触。ちょっとくすぐったい。
…これからよろしく、なのですよ。

【とある日常】

――カチリ

スイッチを落とせば、耳元から機械の駆動音が徐々に消えていく。
インカムを外して。頭に感じていた重みを手の上に感じて。
溜息、一つ。

本当は、こんなものなんか、必要としていたいわけじゃないのに。

「……――Aus Diesem Felsen starr und wind,」

漏れ出た歌の一節は、誰かにも届くであろうはずはあるのに。

いまだに心的外傷のように残り続けることに、自嘲の笑みが零れる。
必要としていたいわけじゃないのに。
わかってるのに。
わかってるのに。

「……わかって、いるのに…」

――Die Stimme, die nicht ankommt